神田日勝記念美術館館長コラム

 明けましておめでとう御座います。大変お世話になりました昨年を顧みて深謝致しますと共に、今年も宜しくお願い申し上げます。
 昨年11月の当館インフォメーションでも触れていますが、昨年11月8日から本年1月23日まで、当館で収蔵する多くの日勝の作品が広島県尾道市立美術館での「北海道の大地から 神田日勝展」のために移動しています。この間、当館で日勝の作品をご覧になりたい方々には大変申し訳なく思いますが、日勝作品が海を渡り広島県まで足を伸ばして多くの皆様に鑑賞戴く良い機会となっており、加えて、当館での「小林和作とその周辺」展をお楽しみいただけましたことは喜びにたえません。また、尾道での神田日勝展の期日は今月15日までとなっておりますので、残り少ない期日ですがどうぞお運び下さい。
 日勝の作品が海を渡っている間当館では、11月8日から同13日まで全道展十勝支部20周年記念展、11月15日から同23日までは第10回北海道現代具象展、11月26日から平成29年1月9日までを交換展として尾道市立美術館所蔵の小林和作等の名品が当館展示室に並んで来ました。また、本日1月11日から同22日までを期日として「第17回グループ環展鹿追移動展」が始まりました。
 多くの皆様のご来館をお待ちしています。

 さて、神田日勝がその生涯を閉じてから間もなく47年が経とうとしています。嘗て農産物や家畜などの生き物を相手に、その生きる力と自然との調和の中に馬と共に自らの身体を張って懸命に生きた日勝。「結局どういう作品が生まれるかは、どういう生き方をするかにかかっている。どう生きるのか、の指針を描くことを通して模索したい。(中略)機械文明のあおりを受けて人々が既製品的生活を強いられるなかで、クリエイティブな我々の仕事は既製品的人生へのささやかな反逆かも知れない。」と認めた日勝の思いは時代を超越します。彼の時代は遥か彼方に過ぎ去り、一枚一枚の畑の防風林は切り倒され、広い畑に巨大な機械がうなりをあげています。鹿追の農業は今、大規模化が進み安定した経営が見られるが、既製品的生活が浸透したとも云えるのだろうか。本質的に変わっていない現代社会に対峙する日勝がいたならば、この現実をどのように生き、どのような作品が生まれるのだろうか。 

 昨年4月就任以来数回に亘って北海道を代表する公募展を巡らせていただきました。夫々に目指すところがあり特徴のある展覧会が開催されていました。全体を取り仕切る方々や、美術評論家・作家の皆さんに接する機会に恵まれました。次代を担う新たな作家の発掘に心を砕いているのはどの公募展も同じだと感じました。また、個々の作家のお話を聞けば作風に悩みながらの出品など十人十色の悩みが聞けました。
 当館では本年も、あまた居られる作家の皆さんがそれぞれの歴史の上に新たなご自分の主張を込めた新たな作品が生まれることを願い、小さな町の小さな美術館として芸術活動の広がりに出来ることは何かを求め続けたいと思っています。
 重ねて、本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。

 神田日勝記念美術館館長  小 林  潤