館長 新年度挨拶

 4月初旬になっても美術館の周辺は残雪と朝夕の涼しさが漂っています。市街地を一歩出ると、広大な畑地帯が広がり、雪の間から徐々に顔を覗かせる漆黒の大地が北国の晩い春を演出しています。
 神田日勝が鹿追に生きた時代(昭和20年から昭和45年)とは比較にならないほど農業は大規模化・機械化が進み、農業生産額も平成28年度予測で190億9500万円となり、237戸の農家で単純に割り返しても一戸当たり8000万円にのぼります。今日の町の繁栄を見るとき、ふるさとに生きる私たちには、開拓の艱難辛苦の時代が脈々と積み重ねられて今があることを忘れないようにしなければとの思いがあります。
 さて、北海道の真ん中付近に位置し、十勝平野の北西・大雪山連峰の裾野に佇む鹿追町神田日勝記念美術館では、今年1月からお楽しみいただいてきた平成28年度第2期常設展「私のお気に入りの日勝さんPartⅡ」の展示が終盤を迎えています。4月25日からは新たに特別企画展「燃え上がる大地-神田日勝」が始まります。
 開拓農家として与えられた畑地に残る直径1メートルもあるような大木の切り株を人と馬の力で掘り起こす作業は、今では考えも付かない重労働。寝る間も惜しんで切り拓く日々の合間に描かれた作品群。そのような日常の中で描かれた日勝の豪快な筆づかい・鮮やかな色彩の作品群を目の当たりにされた方々からは、きっと様々な感想が寄せられるものと思います。どうぞお楽しみ下さい。
 次に、今年の当館では例年同様6月の開館記念行事「蕪墾祭」でのコンサートや交流会、8月には日勝の画業を偲ぶ「馬耕忌」、12月に生誕を記念する「日勝祭」等のイベントを予定しています。中でも馬耕忌では、現代アートの巨匠「奈良美智氏」をお招きして講演会を予定しています。その頃は新寄託作品を紹介する本年度第Ⅰ期常設展もお楽しみいただけます。
 また、9月には全道展を中心に活躍されている7名によるグループ櫂展、10月には現代アートのカワシマトモエ展、11月には菅前館長を偲ぶ・十勝の美術作家展などを予定しています。
 4月に入り新年度の概要について触れてみましたが、今年も様々な角度から皆様方のご指導を賜りますよう、どうぞ宜しくお願いします。

 神田日勝記念美術館館長  小 林  潤