神田日勝記念美術館ホームページをご覧いただきありがとうございます。
神田日勝(1937-1970)は、1945年8月、終戦直前に東京から拓北農兵隊の一員として北海道鹿追村に疎開し、農民として画家として激動の時代を生きました。厳しく過酷な開拓者の日常を背負いながら、たくましく成長した画家は、やがて一人の人間として激動する社会の中で人間性を追求し、「あの真っ白なキャンバスの上に、確かな生命の痕跡を残したい」と、自らの生きざまを作品に描きこみ、驚くほどの画風に変遷を経ながら、リアリズムの画法を独自に切り拓いていきました。厳しい開拓の労働の寸暇を惜しんで、地元の平原社展、全道展、そして独立展を中心に積極的に応募し、瞬く間に名声を轟かせつつありましたが、1970年8月、あまりにも突然に病魔に倒れたのです。
当館は、わずか32歳の若さで生涯を閉じた画家の死を悼む多くのファンの熱意と長年の建設運動が実を結び、1993年6月に鹿追町立神田日勝記念館として美術館の第一歩を踏み出しました。
当館オープン以来、広く北海道内外の美術作家展をはじめ、各種事業を展開してきましたが、2019年にはNHKの連続テレビ小説『なつぞら』に登場する青年画家「山田天陽」のモチーフとされたこともあり、全国的に存在が知られるところとなりました。作家没後50年を経て、作品と共にのこされた寄稿文からは、今なお生きること・描くことへの深い洞察の姿を感じ取っていただけるものと思います。
代表作《馬(絶筆・未完)》は、鑑賞者の心に声なき声を囁きかけていますが、日勝作品の展示はもとより、美術館相互の事業連携の機運が高まっている時代にあって、改めて地域の芸術文化活動の拠点として多くの皆様に親しんでいただき、新たな時代の新たな美術館の在りようを模索しながら、未来志向の運営を心がけています。
このホームページでは、展覧会案内をはじめ、当館に関わる様々な情報を簡潔にお伝えし、少しでも皆様の便に供することができるよう努めておりますので、どうぞご存分にご活用ください。
皆様のご来館を心よりお待ちしております。
神田日勝記念美術館館長
小林 潤