美術スポット駆け巡り ≪後編≫
翌日は終日札幌。札幌芸術の森、北海道立近代美術館と札幌国際芸術祭の会場を駆け回った。特に札幌芸術の森の野外展示は、無料ゾーンと野外美術館の有料ゾーンに分かれ、炎天下の作品マップを片手にしての石の階段の往復は足にこたえた。ある意味でハルカ山や防風林アートの散策より身体にこたえた。思いがけない作品との出会いもあり、それなりに楽しめたのだが…。その後北都舘で川本ヤスヒロ作品を見ながら昼食、ギャラリー門馬では大井さんから若干のレクチャーを受ける。たまたま鴨鴨堂で帯広の村上陽一さんの作品展があるので訪ねると、前回はスムーズにたどり着けたものが、飛び地番号のせいもあってか行きつ戻りつを繰り返した。ただ小品の魅力も捨てがたいと感じた会場であった。その後茶廊法邑で蒼野甘夏展。作家自身とゆっくり会話を交わす時間が得られたことはありがたい。日本画専攻ではないというが、北海道で今輝いている日本画家の一人である。来年までスケジュールが埋まっているというが、近いうちにジョイント企画を考えたい作家であり、再来年の頃の企画を約して会場を辞した。
翌日はモエレ沼公園からスタート。世界各地の電磁波を音楽に変換するという発想と装置に驚かされる。画像収録の撮影と時間が重複するので困惑したがスタッフの丁寧な対応で手際よく鑑賞できた。昼頃上砂川の炭鉱館に到着。楢原武正氏の作品等のアート作品群が館裏手の芝生に展開されている。しかし関係者も、作家も、通行人も人影一つ見えないのには驚かされた。ただ僕一人が広大な空間に佇む光景など、全く初めての奇妙な体験であった。夕刻には富良野の六花亭の美術館へ。池田均さんの力作と落ち着いた美術館の荘厳な雰囲気がマッチした素晴らしい作品空間といえた。しかし隣接する喫茶・売店の溢れんばかりの来客とは裏腹に美術館には誰もいない。一人このゴージャスな空間を満喫しながら至福のひとときを過ごした。
見逃した美術スポットは8月中旬の再訪を期して3日間の駆け歩きを終えた。これをどう自館に生かすか、今はそれを考えている。