二十周年記念事業始まる

2013年4月、神田日勝記念美術館が開館して二十周年にあたる今年、多くの記念事業がスタートした。
ゴールデンウィークには美術館を会場に十勝出身の美術家浅野修さんの「虚と実」をテーマとしたコラボレーションと鹿追町民ホールを会場とした独立美術協会の新進気鋭の会員・準会員による「錨をあげて-独立美術の新しい潮流」が開かれる。
浅野修さんは鹿追にゆかりの作家で、多くの親戚・知人が在町している。
現在は鎌倉市に居を構え、主体美術協会を主な発表の場としているが、十勝千年の森に移築した古農家で注目を浴びた作家である。
開拓の面影を漂わせる作品群は、ともに生誕75年を迎える神田日勝と時代を共有するものがあり、美術館として新しい展開を示すものである。
同時に独立美術の若い画家の力作は、独立の伝統を受け継ぎながら、そこに新しい時代精神を感得させる試みである。
6月には童謡唱歌を歌い継ぐ「あかねぐもの会」を招いた「蕪墾祭」、8月には初めて東京の美術館(国立東京近代美術館・東京都現代美術館)より河原温等の作品を借用して日勝の美術史的位置を確認する特別企画展、それに関連した内容を盛り込んだ「馬耕忌」が予定されている。
特記すべきは日勝「室内風景」が長期間北海道立近代美術館のご配慮で当館に里帰りすることである。
特別企画展はもとより、浅野修展に彩りを添える。
また浅野さんのご尽力でNHK「日曜美術館」の放映が6月末に組み入れられとのこと。
5月「国画会」展で上京する予定であったが、急遽そのための事前打合せを兼ねることになった。
新聞連載もほぼ決定し、慌しい記念の年となった。
尚恒例の「馬の絵作品展」の公募が6月から始まるが、今年は北海道文化財団にご支援を得、日勝の代表作「ゴミ箱」の感想文の公募も合わせて行われる。
発送準備も今たけなわである。

菅訓章(神田日勝記念美術館長)