菅訓章氏を偲ぶ・十勝の美術作家展

 錦秋の季節は早や過ぎ去ろうとしている十勝野の今である。
 当館の前館長菅訓章氏が逝ってから1年と10か月が過ぎようとしている。彼は日本の美術界の現状を踏まえつつ、常に画家神田日勝の名を世に知らしめるために奔走し、北海道内外の美術作家との繋がりに心を砕いていた。その行動は道内作家の誰もが知っていると言っても過言ではないほど、会う人々に「行動する菅。神出鬼没の菅。東奔西走の菅。」と言わしめる。
 そんな彼を偲んでこの11月に「菅訓章氏を偲ぶ・十勝の美術作家展」が開かれる。美術団体・サークルの垣根を越えた十勝全体の作家の作品が集まる展覧会である。
 平成28年9月、当初呼びかけ人となる全道展の渡邉禎祥他数名が集まり「(仮称)菅訓章氏を偲ぶ展」の開催を申し合わせ、準備委員会を経て、実行委員(=出品作家)には全道展・道展・新道展・平原社展のほか、神田日勝記念美術館と同美術館友の会も連携・協力する形が整えられた。明けて平成29年1月、正式に第1回実行委員会の設立となったが、席上、実行委員長に推された渡邉禎祥氏より「菅氏を偲び、氏と関わりのあった十勝の美術作家が集い、人と人を結ぶ作家展としたい」と抱負が述べられ今日に至っている。
 偲ぶ展覧会の呼びかけ範囲は、菅氏の交友関係の広さに鑑み十勝管内の在住美術作家に限定することとなり、最終的に39名の美術作家と神田日勝記念美術館長・友の会会長の計41名で実施される。さながら十勝管内で実施される公募展の様相を呈するが、菅氏の人柄に引き寄せられるように、それはまさに「人と人を結ぶ作家展」として実現したのである。
 この仕事に日が浅い自分にどなたかが教えて下さった。「十勝の作家同士のつながりは広く深い。」この度の偲ぶ展覧会への呼びかけに対して、瞬く間に多くの賛同者が集まる十勝の現実が、このことを如実に物語っている。
 情報化社会が生活の隅々にまで浸透してきた時代にあって、人と人とが寄り合い、心を紡ぐ時間が流れる空間が今こそ求められていると感じる。
 願わくば一人でも多くの皆さんにご観覧いただければと・・・。

 ※菅訓章氏を偲ぶ・十勝の美術作家展の日程詳細はインフォメーションをご覧ください。

 神田日勝記念美術館館長  小 林  潤