こうして完成した「吉沢亮音声ガイド」 その2

 2020年3月2日 収録開始!
 当日午後3時。東京赤坂のスタジオに、端正な顔立ちの吉沢亮さん・マネージャーがスタジオ到着。十勝毎日新聞東京支社長も取材で駆け付け、早速あらかじめ事前送付した原稿に目を通しながら、収録前打合せで全体像の共通理解を図り収録スタート。
 吉沢亮さんは、畳一畳ほどのスペースにテーブル・椅子・モニター画面・マイク・ヘッドホンがセットされた小部屋に入ります。ガラス越しに畳八畳ほどの収録室があり、そこには無数のスイッチ・レバーと大型モニターが並ぶ音響設備、技術者用の椅子、少し離れてディレクター(この日は館長)用椅子、その後ろに3人掛け用ソファーといった光景でした。
 1作品ごとに言葉の発音・間の取り方・速さなどのリハーサルを入れ本番に入ります。途中の読みの確認・間の取り方などの修正カ所部分について再録して、通し録音に修正を加えていく。長時間にわたる録音で声や喉の調子が変わると、水を飲んだり顎が外れるほど口を大きく開け閉めしたり、唇をブルブルと振るわせたり。収録室からのどんな小さなチェックにも顔色一つ変えずに応じ、吉沢亮さん自身からも少しでも気になるところがあると、何度もやり直しを申し出て、丹念に作業が進みます。予定時間の午後6時は瞬く間に過ぎ、一度の休憩を挟んで、すべての収録が終わったのは午後9時。
 6時間に及ぶナレーターの素顔は、映像で見る華やいだ俳優吉沢亮とは別人にも感じられ、仕事と対峙するプロの姿勢、真の姿を垣間見た気がします。
 完成したガイドは2020年6月から11月に開催された日勝没後50年巡回展の全3会場で多くのファンに利用され、今は当館専用音声ガイドとして活躍しています。
 「皆さんこんにちは。吉沢亮です・・・・」 

 神田日勝記念美術館館長  小 林  潤