『未完の馬』のいる風景プロジェクトⅡ

 酷暑の夏も何時しか影をひそめ、気が付けば鹿追の地にも木枯らしに乗って冬将軍が到来しています。
 師走を間近に控え、当館開館30周年記念事業として取り組んだ「未完の馬」のいる風景プロジェクトを改めて振り返ってみます。
 9月24日、一万人を超える来場者の第42回ふるさと産業まつり会場に隣接した麦稈ロール(直径1.7mほどの円柱状に束ねた小麦殻)を用いた滑り台には、お祭り気分に乗じた子どもたちが群がり、「未完の馬」のロゴがあしらわれた色とりどりの風船がお祭り会場に花を添えていました。
 圧巻は7月下旬に撮影された「『未完の馬』のいる風景」写真展です。
 焼けつくような日差しを浴びながら、収穫を終えた広大な小麦畑に点在する麦稈ロールに、「未完の馬」が寄り添っている風景が眼前に広がります。普段は当館の展示室の中央に鎮座している「未完の馬」が実物大のパネルになって広い大地に飛び出した光景は、小麦色の大地と抜けるような十勝の青空に純白の雲との絶妙なコントラストを醸し出しました。
 ここぞとばかりにアマチュア写真家たちがお気に入りのアングルを求めて歩き出し、吹き出す汗を拭う間もなくシャッター音が響き、数百・数千とも思える傑作が撮りためられて行きます。この中から30数枚に絞られた作品が会場に展示されたのですから、鑑賞者の皆さんから感嘆の声が漏れるのもお分かりいただけるでしょう。マスコミも多くの紙面を割いて下さり、十勝鹿追町の広大な小麦畑に出現した「未完の馬」の光景が広く社会に周知されたことで当初の目的は一部達成できたと自負しています。※当館Facebook(9月24日参照)
 また初めての試みで難題も多く、老若男女・職域をも越えた実行委員各自が労力を注いだ分だけ達成感も大きなものがあったと思います。
 「未完の馬」が取り持つ美術館と産業まつりのコラボレーション、これからの展開がどのような方向に進みますか、乞うご期待です。

 神田日勝記念美術館館長  小 林  潤