新しい年に

2013年が幕を明ける。
神田日勝記念美術館が開館して20周年にあたる節目の年である。
運営協議会委員や美術館友の会役員の方々を含めた記念事業実行委員会が、この記念すべき年のために知恵を出し合い、様々な事業を企画している。
まだ計画の段階ではあるが、本州(具体的には東京)の美術館の作品を交えた特別企画展を中心に、特色ある展覧会事業―主体美術の浅野修作品と日勝のコラボレーション(奇しくも十勝は浅野の故郷であり、さらに2人は同年でともに生誕75年を迎える)、独立美術協会の若い潮流の紹介、さらに田島征三展が、会場の制約を受けながら予定されている。
また小檜山博名誉館長提唱の絵画感想文も、日勝の代表作「ゴミ箱」をテーマとして実施することが決定されている。
この募集期間中「ゴミ箱」は美術館に常陳され、応募者に対応できるよう配慮されている。
これに先立つ1月には、北海道文学館で特別展「高橋揆一郎の文学」が開催され、当館から「馬」(絶筆・未完)が要請を受け展示される。
既に周知のように、高橋揆一郎氏は当館の2代目の館長を勤められ、住民ー殊に子どもたちに親しまれる美術館を標榜、特色ある事業として定着した「馬の絵作品展」の創始者でもある。
「馬」(絶筆・未完)の出品だけでなく、美術館長としての業績も紹介されるという。これも高橋元館長の大きな足跡を辿るものとして、20周年のプレイベントとでもいえる喜ばしい企画である。
付記すれば、2012年後半には日勝作品の寄贈(1作品)や購入(3作品)、さらにカレンダー原画の寄託があり、僅かづつではあるが日勝作品に厚みを加えることができた。
また十勝美術史を彩る作品として、中谷有逸・渡邉禎祥氏等の作品が収蔵でき、伝説の画家といえる與志崎朗の「花嫁の橇」も、当分の間作品保全の観点から当館でお預かりすることになった。
その意味では当館は十勝における美術館としての一定の役割を果たす施設となりつつあるともいえる。
何はともあれ、職員や支援組織が一丸となって新しい年に進んで行きたいと思う。

菅訓章(神田日勝記念美術館長)