「なつぞら」応援団

 国内各地が大自然の脅威に晒されたこの一年が過ぎようとしていますが、改めて自然災害の犠牲となられた皆様のご冥福をお祈りし、一日も早い被災地の復興を心から願うものです。
 さて、来年4月1日から放送予定のNHK朝ドラ「なつぞら」のロケが十勝のあちこちの市町村を舞台に展開されているとのことですが、今夏、東京から神田日勝記念美術館を訪れた私の友人が神田日勝の代表作「室内風景」(5年に一度所蔵先の道立近代美術館から里帰りしている)と「未完の馬(絶筆)」に「圧倒された」と感動し、再度来訪を約束して帰京しました。驚いたことに彼が、その後朝ドラ情報《吉沢亮が演じるなつ(広瀬すず)に絵心を教える青年・山田天陽の人物造形は、早世した鹿追町ゆかりの画家・神田日勝の生涯を参考にしたという。なつの人生を左右する重要な役柄で日勝ファンにも注目されそうだ。…北海道新聞より転載》を聞きつけ、感動のお礼にと「神田日勝記念美術館」と「夏空」の文字を刺繍した「オリジナルなつぞら応援ジャンバー」を製作、早速送ってくれたのです。放送開始まであと数か月のこの時期に何よりもの応援の贈り物と感謝・感激しています。
 十勝の市町村では今、各地から訪れることが予想される「なつぞら」応援団ともいえるお客様への対応準備に余念がありません。もちろん当館においても、神田日勝はもとより山田天陽も生きたであろう十勝と鹿追町の昭和の時代を髣髴とさせる作品の数々を余すことなくご覧いただき、「なつぞら」が心に浸みるような企画を練っていきたいと考えています。
 その第一弾は「神田日勝が描いた牛・馬・人物」と銘打って、「開拓の馬」や「牛」・動物や人物が描かれた作品を集めた現在展示中の平成30年度第2期常設展です。2階には人気の高い風景画の小品も並んでいます。
 そういえば、12月2日に当館を訪れたNHK朝ドラに出演する俳優の吉沢亮さん。「僕は風景画が好きなんです」と屈託無く話され、撮影の合間に二階への階段をまるで小鹿のような足取りで軽やかに進み、神田日勝の風景画を、「とりこ」になったように一点一点食い入るように見つめていたのが印象的でした。何事にも真剣に向き合う吉沢亮さんの姿勢を垣間見たひと時でした。
 最後に一つコマーシャルです。美術館開館25周年記念事業として刊行するレゾネの発刊、来年3月を目処に取り組みを進めていますが、一般の方の購入お申し出にも対応できることとなりましたのでご期待下さい。
 年の暮れを迎え皆様からのご支援を戴きつつ過ぎた一年を振り返り、来る年が皆様にとってこれまで以上に笑顔溢れ稔りあるものになりますようお祈り申し上げます。

 神田日勝記念美術館館長  小 林  潤