謹賀新年

 北海道鹿追町の澄んだ青空は、人々の一年の安寧を包み込んでくれているようです。
 昨年の早いころから見えない敵のコロナウイルスに対する知見が多く出始めましたが、第8波が襲来している中で未だ個々人の対応方策に大きな変化はなくマスクと手洗い・密を避け・大声を出さないことに尽きるようで、行動制限が緩和され国内外の旅行が増えても日常の閉塞感はぬぐえない状況にあります。
 このような中にあって、北海道内外の作家諸氏の活動はというと昨年4月末ころから軒並み展覧会が開催され、水彩・版画・油彩画・書道展等々枚挙に暇がないほどで、入場者もコロナ禍以前のような活況とまではいかないまでも、聞けば待ち望んでいたとのお客様も多くおりました。
 6月には全道展、7月には地元平原社展・新道展、9月には道展と、その他にも道内の規模の大きな展覧会も見事に開催され、制作する側・鑑賞する側にとっても芸術活動とその展示空間が人々の心の潤いに欠かすことのできないものになっていることを如実に物語っていました。
 さてこのような社会情勢の中で、当館は新年度には開設30周年を迎えます。多くの町民の願いが結集された美術館建設運動と多くの日勝ファンの声が結実してやがて町のマスタープランに組み込まれ、1993年6月にオープンした当館ですが、これまでの30年間を振り返りより地域に密着し地に足のついた事業展開が求められるものと、職員一同気を引き締めて新年を迎えたところです。
 飛躍の年と言われる卯年ですが、皆様にとって輝かしい年となりますようお祈りしますと共に、この一年もまた多くの日勝ファンの皆様のご来館をお待ちしております。

 神田日勝記念美術館館長  小 林  潤