新たな時代に向けて

 地球規模の異常気象、大地震、コロナウイルスのパンデミック、収まるところを知らない世界を二分する戦争の危機。私たちの日常に降り注ぐ不安の数々が頭をかすめつつも、平和ボケの毎日を送る自分に危機感を覚え改めて叱咤するこの頃です。
 今年も年度替わりを迎え、職員の出入りがあり当館もご多分に漏れずですが、異動によって職場の雰囲気も多少なりとも変わります。しかし、お客様をお迎えする受付の顔が変わっても館の顔は変わらず平穏で笑顔の対応を心がけています。
 さて、情報化時代といわれてから久しいのですが時代を先取りする若い年代層に比べて残念ながら一歩も二歩も遅れて情報化対応している公的機関が多いと認識していますが、当館でもようやく旧年度に受付がキャッシュレス決済に変わり、四月一日からホームページがリニューアルしお客様にとってこれまでよりも検索しやすく、館とお客様相互に情報の共有がしやすくなったものと受け止めています。
 さらにこれを機に、活用の仕方によっては身近な情報が瞬時に世界に拡散することもできる時代にあって美術館の生き残りをかけた情報戦略を常に前進させなければならぬと自戒しています。
 日進月歩の新たな時代に向けて開館30周年の節目に当たり職員一同日々の向上を心がけ、美術館友の会の皆様と共に一人でも多くのお客様に足をお運びいただけるようお待ち申し上げています。

 神田日勝記念美術館館長  小 林  潤