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神田日勝記念美術館 学芸員コラム

謹賀新年

2018/01/10

 平成30年の幕開けは誠に穏やかなものとなったが、異常気象がもたらす災害に悩まされる近年を振り返れば、自然災害の比較的少ない鹿追町であっても常に防災体制の強化が求められている。開館から25周年を迎える当館であるが、相応に施設の老朽化が気になり始める時期でもある。
 大地震・大津波に襲われた被災地を思い起こせば、大自然に打ち勝つ万全な体制など無いに等しいのかもしれないが、出来る限りの備えをとの思いを強くする新年の幕開けである。
 当館が所蔵する日勝の作品群からは、今も開拓の艱難辛苦を味わいながらなお大自然と対峙し、対峙する自分の思いを描き続けた力強さが伝わってくる。力強さの原動力となったのは何であったのか。日勝は若くして開拓者の過酷な営農を背負い肉体も精神も鍛えられた。唯一機械音痴ではあったが、スポーツは万能、腕っ節は強く青年団活動にも積極的に参画し、強靭な身体に不屈の精神が備わった若者として育った。やがて物資の困窮・遭遇する冷害凶作をも乗り越える力が備わり、どんな困難にも打ち勝つことができる自信のようなものが備わっていったのか。
 日勝は、彼を取り巻く現実の世界とは別に、心の内側に広がる確たる絵画の世界を持っていたことが様々な日常の行動から伺える。どのような境遇にあっても自分の生き方を絵画の世界の中で作品にぶつけることで彼の生きることへのエネルギーが確保されていたのだろう。作品から伝わってくる力強さの源がそこにある。今年没後48年となる日勝は、25周年を迎える美術館の新年をどのように見つめているのだろうか。
当館では昨年11月から本年4月まで、平成29年度第2期常設展「神田日勝のデッサンPart2」を公開し、日勝の初期の頃からのデッサンをご紹介しお楽しみいただいている。
 昨年は現代美術作家の奈良美智氏にご講演いただくなど、各種の企画に多くの皆様方がご来館いただいたこと感謝にたえません。本年も皆様にとりまして良き年でありますようお祈り致しますと共に、職員一同心からご来館をお待ち申し上げます。


神田日勝記念美術館館長  小 林  潤

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